セキセイインコ

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 バイキング会場は入り口右手に料理が並べられていて、僕はトレーを手に取ると空の皿を載せ、焼そば、肉じゃか、鯖の塩焼き、ほうれん草のお浸し、きんぴらごぼうを盛り付けた。一番奥にご飯物があり、茶碗にかやくご飯を盛り、カレーを少し掛けた。  炒飯を山盛りにした大皿を持った係員が「炒飯出来上がりました!よろしければどうぞ!」と威勢のいい声を出すと、座っていた何人かが炒飯を取りにいった。  バイキング会場はそれなりに混んでいた。トレーを持ち、僕は一人で座るのに丁度良い場所を探していたが、なかなか一人で座るのに適した良い場所が見つからないでいた。  中央奥の、柱の横にそこそこの席を見つけたので座った。柱の壁に体が隠れるので、落ち着きそうだった。  料理が載ったお盆を持つ、真っ白な口髭が目につく痩せた老人が「あの、あなたも一人で旅行ですか?」と聞いてきた。 「ええ、旅は一人が 楽でいいです」 「ご飯、御一緒してもいいですかな」 「どうぞどうぞ」と僕がいうと、老人は向かい合わせに座った。
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