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「はぁ~、何でこう大事な時に限って忘れるかな」
夜の学校の階段に、一人の少年の姿があった。
その少年の手には、ノートと教科書があり、どうやらテスト前の教材を取りに来た帰りの様子
少年は一人ぼやきながら、ダルそうに暗い階段を一段一段ゆっくり、降りていく
夜の学校には蛍光灯などの明かりはなく、窓から射し込む月明かりだけが頼りのため、万一足を踏み外しでもしたら、怪我をするか、運が悪ければ、幼少時代に会ったおじいちゃんとのご対面にもなりかねない
どちらにしても、学校には誰もいないため、足を踏み外したら、明け方になるまで助けが来ることはない
「こんなことなら、もっと勉強してれば‥‥‥‥
一個でも赤点取ったら留年なんて辛すぎる‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ダメダメな小学生を助けるタヌキさえいてくれれば、こんな」
普段こんな変人まがいな独り言など言わない僕が口走ってしまうのは、とてつもなく今恐いからだ。
夜の学校というのは、透明な物体が容易く出てきてしまうような
そんな気持ちにさせる
バンッ !!
「ひゃっ!!」
何とも情けない声を出したが、今のはひゃっくりが出そうになっただけ、決してチキンな訳ではない
こんな所で大きな音が聞こえたなら、誰でも同じ反応するだろう
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