憂色―ゆうしょく―

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レコーディングスタジオに現れた涼介を見たメンバーは、涼介の異変に直ぐに気付いた。 何時もならハイテンションでドアを開けて、メンバーに「(うるさ)い!」と怒られる程はしゃぐのだ。 それなのに、今日に限って暗く、誰とも話そうとしないで、部屋の隅で壁に向かって俯いている。 昭仁に隠し事をしていると思うと、後ろめたくて、昭仁を直視出来ない。 昭仁と和彦の二人は、顔を見合わせてから、涼介を挟んでソファーに座る。 「どうした?」 「涼介の出番は、まだ後だよ?」 自分を気にかけてくれる昭仁の顔を見て、何か言いたげに口を開く。が、何も言わず、直ぐに俯いてしまった。 涼介の態度で、昭仁が関係していると悟る。 「俺、何かしたかな?」 昭仁の落ち込んだ様な声を聞いて、慌てて顔を上げて首を激しく横に振る。 「違います! あの…」 「何でも話してよ」 「話せば、解決するかもしれないぞ」 和彦の言葉を聞いて決心した様だ。 一つ小さく頷くと、昭仁を真っ直ぐ見る。
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