天城茎太郎 と 少女

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『調べがつくまでは此処にいようと思う。多分時間の問題だけれど。』 天城は息切らしていた。 楓が居なくなってからすっかり廃墟になってしまったこの家に、暫く身をおくことにした。 『未だ、思い出せる。』 家具や食器や写真等は埃被っていながらも当時のまま残っていた。 楓が居なくなって、天城は忘却を一番恐れていた。 死んでしまう時迄 覚えておかなければいけない気がするのだ。 『また、会える。』 警視庁では既に犯人を数人に絞っていた。 被害者の友人、桜子、葵、現場付近に居た身元不明の男娼、つばめ、そして同じく現場付近で目撃された 天城茎太郎。 天城は分かっていた。 明日には犯人が自分だと判ることを。 ただ今は、一緒に居るこの少女を護ることが優先だと思った。 ゆかりと、逃げ切らなければ。 ゆかりは最早此方を向かない。 それもそうだ。 私は本当に殺してしまったのだから。
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