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「最善の手は尽くしましたがガラスの破片による裂傷の出血多量に、車に引かれた時の左肺の損傷が予想以上に酷く、助ける事は出来ませんでした」
「ああ……」
そう言い、修介の母は医師の白衣を握り絞めながら声をからして泣いた。父は生気が抜けたように待ち合い室の椅子に座り込み、啓太は親友の死にただ呆然と立ち尽くしていた。
そして、修介の告別式当日……。啓太は声が枯れるまで泣き、親友に別れを告げた。他のクラスメイトも泣いて別れを告げていたが啓太には何処、不自然に見えた。
修介の告別式が終わり、啓太が家へ帰ろうとした時だ、正樹が啓太を呼び止めた。
「啓太、大事な話があるんだ。ちょっと時間いいか」
「ああ」
啓太は軽い言葉で返事をすると、正樹の後へ着いて行く。
着いた先は、近くにあった公園だった。そこには、クラスメイト全員が揃っていた。
「何でみんな集まってるんだ?」
「言っただろ。大事な話があるって……」
正樹がそう言うと、学級委員長をやっていた長田美紀がポケットからクリーム色のお札を取り出した。
「なんだ、それ?」
そのお札を見て、啓太は不思議がった。
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