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正樹の言葉に啓太は愕然とする。
「簡単な方法で呪いが止められるなら、こんな呪いすぐにでも止めてるよ」
そう言って、正樹は口を閉じた。
正樹がしゃべった言葉はクラスメイトの誰もが思っていた。
「クラスメイトのみんなを助けたいと思っているなら、みんなの為に死んでくれ……啓太」
そう言って正樹は頭を下げた。残酷な正樹の言葉に、啓太は無言で考え込んだ。そして、啓太は一つの答えに辿り着いた。
みんなを助けたいと思う反面、死にたくないと思うのが啓太の見つけた答えだった。死にたくないと言う強い思いは、啓太の考え無しに口から零れ出たのである。
「俺、死にたくない」
啓太の口から零れ出たその言葉は、公園にいたクラスメイト全員が同じように思い、口にしたかった言葉でもあった。
「当たり前だろ! 俺だって、みんなだって死にたくないんだよ!」
正樹の叫びを聞くと、啓太はクラスメイト全員の顔を見回した。そこには、理不尽な呪いによって突き付けられた死に、怯え悲しみ、恐怖する絶望の顔があった。
啓太は思った。自分の命でみんなに掛けられた呪いを止められるなら、みんなの笑顔を作れるなら、死んでも良いんじゃないかと……。
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