最後の日と始まり

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啓太は、修介からほんの少し勇気を分けて貰い、心が恐れる言葉を口にした。 「……分かった、俺が呪いを止めるよ」 手が足が、恐怖に震える。だが突然、手足の震えが止まった。啓太はほんの少し、修介が勇気を分けてくれたのだと思った。 「良いのか? 啓太」   「ああ」 正樹の言葉に頷くように迷い無く応えると、啓太はクラスメイトが囲む霊札を手にした。 「それで、呪いの止め方は?」   「霊札に自分の血で名前を書くんだ」 正樹のその言葉を聞くと、啓太は辺りに落ちている木の枝で、自分の腕に切り傷を付けた。 啓太の腕から、赤い血が滴る。 「ごめんね、啓太君」 美紀は一言、謝った。それは、クラスメイト全員の言葉でもあった。 「大丈夫だよ。俺、自分の命とみんなの命を天秤に掛けるつもりはないから」 そう言って、啓太は霊札に自分の名前を書いた。迷いも恐れも無く、力強く。 「この霊札はどうすれば良いんだ?」   「肌身離さず持っていれば大丈夫だ」 正樹の言葉に啓太は勇気に満ちた声で「分かった」と応えた。 「それじゃ、もう行くよ。もしかしたら、これが最後の別れかもな……。とりあえず、みんな元気で……」
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