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自分が立っている所さえよく理解していない啓太は、何が何だか分からないがとりあえず行列の最後尾に並んだ。
啓太が建物の中に入ると、まず自分の目を疑った。
「…………」
啓太の開いた口が塞がらない。
「次! うーん、お前は天国だ」
そう言って、啓太の目に映った男は普通とはスケール感が全く違う、馬鹿でかい紙に馬鹿でかいはんこを押し付けた。それと共に大きな音と揺れが部屋の中に響いた。
「……嘘……だろ」
そう言って、啓太は男を見上げた。その男は数十メートルいや、数百メートルは有りそうな大男だった。真っ赤な顔をし、鬼と天狗を混ぜたような威圧感溢れる顔付きをしていた。
大男が被る帽子の額部分には閻魔と言う文字が少し崩された形で書かれていた。
「なあ、おっさん。あいつ誰なんだ?」
啓太は自分の前に並んでいる男の肩を叩き、大男を指差した。
「誰って……閻魔大王様だろ」
啓太の前にいる男は後ろを向き、当たり前のように答えた。
「そうか、兄ちゃんここは初めてかい?」
男はふと気が付いたようにそう言い、啓太はその言葉に「そうだけど」と答え、頷いた。
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