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Side:Byakuran
ずっと
ずーっと
愛してるよ――
一生
傍に居るから――
絶対に
離さないよ――
こんな甘い言葉を紡いでいたなんて………
─────────────────────────────
「有り得ないよね、今となっては」
だってさ、今の僕には『愛』なんて分からないんだもん。
そもそも…元から知らなかったんじゃないかな?
でもさ、愛してあげるなんて言っちゃったんだし、今でもちゃんと愛してあげなきゃね…?
だから、鎖に繋いで牢に入れて、なるべく僕以外のヒトには会わせないようにしたんだ。わざわざ僕の部屋の隣を牢に作り替えてね。
これも一つの愛情表現なんだよ?
あ、こんな事言ったらまだ愛してるって勘違いしちゃうかな?
それとも…僕が本当に愛しちゃってるのかもね。
ん~…それはないかな。だって、愛の仕方、本当に忘れちゃったもん。
だから今注いでいる愛は仮初め。
多分これからも、僕は仮初めの愛を注ぎ続ける。
「そろそろ会いにいこうかな…」
ちょうどご飯時だし、食事持っていかないと。
僕以外の誰にも会わせないようにしてるから、面倒だけど僕が持っていかなきゃなんだよね~…
別に死んだって構わないんだけど、死んだら死んだで大変なんだよね。
部下に運ばせた食事を持って牢へ向かう。
「ベル、ご飯持ってきたよ」
そう、名前を呼んで牢の中に入る。
ベルは僕を見るなりすぐに、よろめきながら僕の方へ来て擦り寄ってくる。
――欝陶しい
そう思った瞬間、ベルの左脇腹を蹴ってた。
「がっ!!」
そんなに強く蹴った覚えはないんだけど、ベルは床に転がって痛みに顔を歪めてる。
そんなんで君、ホントにボンゴレ最強の暗殺部隊の幹部なの?
なんて思ったけど、口には出さないで
「ああ、ゴメンね。足が滑っちゃったんだ。大丈夫?」
表面上の言い訳と、偽りの優しさ。
「大丈夫……だから…」
か細い声。
何かとつけて殴ったり蹴ったりしてるからね。
でも、いくら殴ったり蹴ったりしても反撃はしてこないんだよね~
「そっか…ゴメンね…?」
「ううん……悪いのは…俺だから………」
そうだね、僕が『愛』を忘れたのは君のせい。
君が僕を裏切らなかったら、ずっと幸せだったのかもしれないのにね。
君が裏切らなかったら――
僕は、君に、歪んだ愛を注がずに、済んだのに――――
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