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「じゃ、またご飯の時にね。気が向いたらその前に来るけどさ」
そう言って白蘭は牢から出ていく。
白蘭の気が向く事なんてない。
毎日三回、飯を持ってきて食べさせる。
それ以外で白蘭は来てくれない。
でも、来てもらうのは簡単な事。
ジャラジャラと鎖を鳴らし続ければいい。
そしたら白蘭はやかましいからって、俺に暴行を加える為に来る。
痛いのは嫌いだけど、白蘭が俺に触ってくれるなら、痛くたって嬉しいから。
「ししっ…俺も、結構歪んでんじゃん……」
監禁されて、暴行受けて…
それでも、
「白蘭…好き…」
それにまだ白蘭は俺を捨ててない。
だから、まだ白蘭も俺を愛してくれているはず。
根拠はないけど、そう信じてる。
信じていなきゃ、俺が壊れる……
「………っ!!」
さっき白蘭に蹴られた所がまだ痛む。
いくら俺が怪我してるからって、あれくらいならどうってこともない筈なのに……
服を捲り蹴られた場所を見てみると、
「しししっ……痛い、訳だ…」
そこは前に白蘭に切り付けられた場所だった。
しかもまだ傷は完全に塞がってはいない。
そこを蹴られて、痛くない訳がない。
「………寝よ…」
どうせする事もないし、睡眠をとって少しでも体力を回復させておきたい。
そう思って傷が上に向くようにベットに寝転がる。
牢に置かれているベットは周りから浮くほど綺麗でふかふかのベット。
多分、自分が座るソファー代わり、又は稀にするセックスの時の為に白蘭が置いただけだろうけど、それでも俺は嬉しくて、やっぱり白蘭はまだ俺の事を愛していてくれてるんだと思う。
今の白蘭がくれた数少ない愛情の固まりだろうベットに顔を埋めて、俺は眠りについた。
ミラノで買い物をしている俺――
隣には白蘭がいてジェラートを食べながら歩いてる――
あまりにも美味そうに食べてるから、ちょっと欲しくなって許可も取らずに白蘭の持ってたジェラートを少し食べた――
そしたら白蘭は少し―張り付いた感じではない―笑みを浮かべ、そんなに食べたかったの?って問う――
俺は、白蘭が美味そうに食べてたからさって少し照れたように答える――
そしたら白蘭が、じゃあ僕もベルからもらおうかな♪っていきなりキスしてきた――
――懐かしく、もう戻らない過去の夢…
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