第一章 脇役の朝

2/3
772人が本棚に入れています
本棚に追加
/67ページ
朝、目覚ましの事務的な電子音で目を覚ます。 「む…、もう朝ですか…」 もそりと起き上がる。 眠い目を擦りながら寝床から這い出し、二階にある自室から一階のリビングへ。 「…おはようございます。」 リビングにいる母に声をかけ、 「おはよう、御飯できてるから早く食べちゃいなさいね?」 との返答を賜る。 「兄さん、ベーコンエッグのエッグをください。」 「寝言は寝てから言いなさい。」 妹の暴言をかわし、 「弟、消し炭寸前のトーストと灰になったトースト、どちらがいい?」 「自分で焼きますからいいです。 …いい加減、トースターくらい使いこなしてください。」 機械音痴の姉をたしなめる。 「消し炭寸前のトーストをくれ。」 …父さん、体に悪いので海軍式代用コーヒーは止めてください。 「飲むか?」 「飲みません。」 全く以ていつも通りの朝だ。 朝食を終え、いつもの時間に着替えて学校へ向かう。 「忘れ物はない?」 「抜かりなく。」 母さんの問いに即答する。 「そう?」 「では、行ってきます。」 俺、高瀬春樹の一日は、いつもこうして始まる。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!