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雪華とレイヴンの二人が、マイクを持つ。
「…」
レイヴンは緊張していた。何年ぶりだろう、歌を歌うという行為は、下手をすれば10年近く歌っていない。
「レイヴン…」
雪華に呼ばれ、雪華のことを見る。雪華は、一度だけ首を縦に振った。
「…あぁ!」
レイヴンは笑う。
前奏が始まり、まずは雪華が歌いだす。
雪華
「降り止まぬ雨はただ悲しく 僕ら元に降り注ぎ」
レイヴンは、意を決する。
雪華&レイヴン
「閉ざされた時間の流線に 僕らは再び 罪を見る」
雪華
「たそがれに」
レイヴン
「たそがれに」
雪華&レイヴン
「浮かぶ月と月」
雪華
「現れた」
レイヴン
「現れた」
雪華&レイヴン
「君の影にこの命を叫ぶ」
二人が、薄っすらと笑う。
雪華&レイヴン
「エセリアルの風が吹き荒ぶ谷間 魂の慟哭 響かせて 駆け出した先に見る 最果ての塔 開け放ち逢いに行こう」
曲の一番が終わる。
レイヴンも雪華も、笑っていた。
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