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まだ教科書を持っていない僕は、堀田君に見せてもらって過ごした。
それで今は昼休みだ。
堀田君に学校を案内してもらおうと思ったら、大量のクラスメイトが僕の席に押しかけてきた。
「わっ、わっ!?
何!?」
「水木君てどこの部屋に住むの!?」
「部活はもう決めたか!?」
「勿論野球部だよな!?」
「学校案内してあげようか!?」
隣を見たら堀田君が吹っ飛ばされていた。
拙い。
こんな状況、今までに体験したことがない。
「はいはい、ちょっと退いてねー」
クラスメイトの群集を押しのけながらショートカットで赤いカチューシャを付けた女子が一人やってきた。
一目見た感想とすれば、元気をそのまま人間にしたような感じの女の子だ。
と言うか、今度はなんだ!?
「水木拓巳君だよね!?」
その娘は僕の腕をつかむと、いきなり引っ張ってきた。
僕は理解するのに時間がかかってなすがままに引っ張られていた。
「ほら大吾!
そこでのびてないでとっとと行くよ!」
僕を引っ張っている女子が堀田君に声をかけると、
「あいよ!」
急に元気を取り戻して走ってついて来た。
廊下をもの凄いスピードで引っ張られ、ある部屋に入った。
「転入生連れてきたよー!」
僕を引っ張っていた女子が元気良く部屋の中にいたメンバーに言った。
その部屋には僕、堀田君、引っ張ってきた女子、壁にもたれながら携帯をいじっている男子、机に突っ伏して熟睡してるポニーテールの女子とそして、先程からこっちを見て不適な笑みを浮かべて座っている上級生らしき男子がいた。
もう、一体なんなんだ。
かなり動揺してる僕を見て、上級生らしき男子は立ち上がりもの凄い笑顔でこう言ってきた。
「ようこそ、我らが『挑戦部』の部室へ!」
僕は何かに巻き込まれたらしい。
そう気付いたのはかなり遅かった。
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