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それはある休日の事だった。
俺はその日、部屋で寛いでいた。
「んぁあ~…、ねみぃー…」
俺はテレビの電源を消し、ベッドに寝転がりながら欠伸をした。
「何かねぇーかなぁー…。漫画でも読むか…」
漫画を読もうと漫画に手を伸ばそうとした時だった。
『何かさ此処のカフェ、最近出来たんだけどスッゴいイケメン男子が居るんだって♪ねぇ、よかったら一緒に行かない?』
『えっ、マジ!?行く行く!!』
俺の住むマンションの玄関のドアを挟む向こうからその声は聞こえた。
「チッ…煩くて漫画も読めやしねぇー。大体カフェの店員がイケメンだかイカソーメンだか知らんが、んなんで喚くなっての!」
そう言うと俺はすくっと立ち上がる。
「まっ、いーや。どうせ俺も暇だし、神聖な俺の休日を邪魔したカフェとやらの店員を拝みにでも行きますか!」
俺はその場にあった羽織る服を片手で担ぐと部屋から飛び出した。
◇◆◇◆◇◆
「此処がカフェか…、随分並んでるな…。まっ、それだけイケメンって訳か」
俺は独り、マンションの前に聳え立つカフェに並ぶ人だかりの最後尾に並んだ。
それから数分並んで居ると突然、目の前から悲鳴が聞こえた。
「キャー!!?泥棒よぉー、誰か捕まえてぇー」
盗まれたバックの持ち主が必死に叫ぶと泥棒らしき人はバックを持ってその前を駆けていく。
それを聞いてかカフェから人が出てくる。
「チッ…、見てるだけかよ」
俺は並んでいた列から離れ、その泥棒らしき人を追いかける。
勿論、俺は運動神経抜群だから泥棒らしき人に直ぐ追いついた。が、どうやら一人ではないらしかった。
追いついて止まった泥棒らしき人はその場で指を鳴らすと目の前に同じ組織と思われる四人の男が現れた。
当たり前の話だが、現代に指を鳴らして人がいきなり現れるなんて事はない。あるとするなら近くにあった車から出てきたのだろう。
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