プロローグ ~始まりの時~

2/11
300人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
コツコツコツと、革靴で石畳(いしだたみ)の通路を歩く音が、建物内に響いていく。 その足音はとても軽やかで自信に満ちた音だった。 注意深く周りの様子を探るように感覚を研ぎ澄ましているのを、少しも感じさせないほどだ。 足音が遠く響き渡る通路は、かなりの広さで天井も高くアーチ状だった。 壁には等間隔に荘厳な造りの施された柱が立っており、柱と柱の間の壁に菱形の水晶がはめこまれていた。 その水晶は、どういった仕組みかはわからないが、淡く青色の光を放って通路を照らしていた。 そんな建物内の重厚な造りや神秘的で厳かな雰囲気から、人が立ち寄れない神聖な遺跡だと感じとれた。 ふと、足が止まる。 通路からかなり大きめの広間に出た。 その広間は円形のドーム状に造られていて、通路よりもさらに天井が高く、壁には柱が何本も広間を囲むように立っていた。      
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!