邂逅

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両膝の重みで目が覚めた。 頭が正常に働かないのは酸素が足りないせいか、あるいは……。 あれ?俺は自殺したんじゃなかったっけ?死の世界っていうものは現世と景色を共有しているのだろうか。 あまりに前の世界と似すぎている。死に損なった、というのは有り得ないだろう。少なくとも練炭を確かに焚いて、こんなに健康なわけが無い。 と、すると練炭が途中で鎮火してしまったとか。 俺は練炭が燃え尽きているか確認しようとした。 「死んでないです。」 ひどく幼い声がした。 「は?」 「だからあ、ヨスガしゃんは死んでないです」 声のする方向を見てみた。 かわいらしい目鼻立ちをした幼女が鎮座していた。 俺の膝の上に。
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