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濡れた頭を代えれば何度だって強くなれる。
そういえば、あいつもこの物語が好きだったな。
年甲斐もなく子供っぽいやつで、いつもこの時間のアニメを録画して見ていた。
画面の中では紫色した悪玉がハ行を叫んで飛ばされていた。
こいつも情けねえな。
あまりの惨めさに涙が出てきた。
ああ、止まらねえよ。
なんなんだよ…まじ、止まんねえ。
Φ
いつの間にかエミリはシャワーを浴び終わって家を出ようとしていた。
「じゃあね。
また会いたくなったら、電話ちょうだい」
扉が閉められる。
雨はまだ降り続いていた。
雨戸を叩く雨の音と、やたらと陽気なアニメのエンディングソングが俺の心を苛んでいた。
一人は、辛い。
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