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春は良い。うん。うららかな春……やっぱり眠気を誘う春は良い。なんといっても、暑くない。寒くもない。街には桜もほのかに色づき始めるこの季節が一番好きだな、俺は。
俺の名は織原祐希。ちょっと女の子みたいな名前だが、立派な男だ。年は18。この春、高校を卒業し、無事大学生になったばかりだ。……まあ、三流大学だけどね。
念願の一人暮らしも叶って、前途は洋々たる気分でぽかぽかとした陽気の日差しを受け、ベッドでうとうとしていたって訳だ。
狭いながらも楽しい我が家ってな。正直、大して金も無いのに大学までいかせてくれた両親には本当に感謝してる。
只、生活費は自分で稼がなきゃならないから、早々にバイトも探さないとな。
「でも……やっぱり眠いよなあ……ふあああ!」
あくびをしておもいっきり伸びをし、ふにゃあと力が抜ける。
入学を3日後に控えた俺はひまをもてあましていたんだな、これが。
あの娘が突然現れるまでは。
まあ、普通は想像もしないわな。
これから想像を絶する体験するなんてね……。
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