第一章 出会い    幸せの予感

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付き合いだして3ヶ月。 3と言う数字は恋愛に置いて重要な数字になる事が多い。 3回めのデート、3ヶ月、3年。 誰が決めた訳でもなく人間のリズムの中に取り込まれたかの様に、 そこに進展、別れ、結婚があったりする場合が私や私の周りでは多い。 私は遊び感覚でキャバ嬢になり大学生と言う『本業』が疎かになっていた。 そのキャバクラに客として来たのが彼の裕也。 19歳の私にとって24の彼は『大人』で『男』であった。 真面目にキャバの道を進むつもりなど毛頭なく、『ただ座って笑ってお酒作っていればお金になる』 そんなキャバを経験した事のない人間でもイメージ出来る イメージ通りのキャバ嬢が私、源氏名『のあ』事 綾香だ。 当たり障りなく女の子とも仲良く、客前では明るく振る舞いキャバ嬢としては そこそこ、といった感じだった。 毎日毎日、変態オヤジ、誰にも相手にされない様なアキバ系、接待で嫌々連れて来られるサラリーマン。 そんな『男』達に笑顔を振り撒くのは、もう慣れていた。 その中で言うなら裕也は嫌々連れて来られるサラリーマンだった。 アキバも変態も見慣れて来ると普通のサラリーマンがかっこよく見えて来たりもする。 一年振りに私の働く店に来た裕也には本々指名していたNo.1の子がいたらしいがその子はもう辞めていた。 そして私はフリー(指名のない客)の裕也に付いた。 キャバ嬢なのに若い男の人が苦手な私はテーブルの中で一番遠いノリの良い客と話して裕也とは眼を合わせられなかった。 『面白いし可愛いね‼』 ノリの良い客の言葉。 面白い、可愛い は、キャバクラに来る客のお決まりの言葉。 可愛くても可愛くなくても。毎日聞く言葉に慣れて照れるでもなく浮かれもせず、また、か。と思う。 『また~💕みんなに言ってるんでしょう?❤』 この返しもキャバ嬢のお決まりの台詞。 『そんな事ないよ~🎵なぁ裕也‼』 そうしてノリの良い客の振りに 『えっあ、可愛いね』 その時初めて裕也の眼を見た。 アキバも変態オヤジも慣れくればスーツのサラリーマンはかっこよく見えるもの。 分かってはいたけど、裕也はそれ以上に私の好みの外見をしていた。
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