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「あっ!もうこんな時間か……。」
その声でハッとした俺は空を見上げてみた。
その空は暗くなって星がキラキラと輝いていた。
…どうやら俺は眠っていたようだな。
「ぁ、本当だね……。」
今まで明るかった少女が少しだけ寂しそうな顔をした。
「早く帰らないとお母さん心配するよ?」
「そうだな、そろそろ行かなきゃな……。」
そう言うが、兄は少女をじっと見つめて動かなかった。
「……ん?何?」
少女も首をかしげて兄を見つめた。
「次は……。」
そこまで言って兄は首をふる。
「いや、なんでもない。」
兄は椅子から立ち上がり、上着を着る。
「じゃあ帰るよ。」
兄は上着を着ながら悔しそうな顔をしていた。
俺は兄が言いたかった事がなんとなく、わかった。
次は……両親も一緒に………。
兄の目がそう言っているようだったが、期待させておいて裏切ってしまったら少女は寂しさを隠して
「仕方ないよ。」
と、笑顔で言っただろう。
できない約束なら、しない方が…ってやつなんだろうな。
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