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「うん、またね。」
そう言って少女は車椅子に乗ろうとして腕に力を込めて車椅子の方に進んで行った。
「いいよ大変だろ?」
「……でも、次はいつ会えるかわからないし…。」
少女はそう言って震えながら車椅子の方へ進んで行った……自分を支える力すら無いほどか弱いんだな…。
兄はそんな少女を見て頭をかいた後、少女を優しく持ち上げると車椅子にそっと座らせた。
「ありがとうお兄ちゃん。」
兄は照れ隠しをしながら少女が乗った車椅子を出入り口まで押していった。
「じゃあ、またな」
兄は少女の頭を撫でながらそう告げた。
「…うん。」
少女はまた寂しそうな顔をして兄を見上げた。
「また来るから、な?」
兄はそう言って少女を撫でる手を離し手をふりながら去って行った。
ポツンと一人、面会時間が終わり、薄暗くなった出入り口に残された少女。
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