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「……あれ?クロネコ君?」
気付くと俺は車椅子の近くにいた。
「お兄ちゃん行っちゃった……。」
わかっている見ていたからな。
「次はいつ来てくれるのかな?」
…すぐ来るさ。
「また、一人……ぽっち…なのかな?」
少女はそう言うと泣きはじめた。
ぽろぽろ
ぽろぽろ
泣きはじめた。
俺はいてもたってもいられず少女の膝に飛び乗った。
泣くなよ俺がいるからさ?
「……~っ!?クロネコ君!」
少女は俺を抱きしめてぽろぽろ泣いた。
いつも庭で、ぼ~っとして過ごしていた少女。
友達もいなく家族もなかなか会いにこれず一人で、たった一人で庭でぼ~っとしていた。
俺を最初に見つけた時どう思ったんだろう?
ジイサンから飯を貰っていた俺を見て…。
ジイサンが退院してどうするか考えてた俺を見て……。
自分に寄ってきたネコを見て……。
本当は触られるのは嫌いだ。
だが、今日は特別だ。
俺にできるのはこれくらいだからな。
だから悲しまないでくれ…。
あまり泣かないでくれ…。
濡れるのも嫌いなんだ…。
特にお前の涙で濡れるのは……。
俺は冷たい涙と温かな少女のぬくもりを感じながら少女の悲しみが、少女の寂しさが無くなる事を、ただただ待った。
それだけしかできなかった。
なぜだか、その事が悔しかった、悔しくて悔しくて
……仕方なかった。
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