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欲しがるだけでは駄目だろう。 「まぁ、そうなんだけど…。」 少女はうつ向いてふさぎこんでしまった。 俺は少女の顏が見える位置に体を移動させた。 手術を受ければお前だって学校に行き友人が作れるだろう? 「……………。」 確かに怖いだろうが今日、話を聞いて、どう思った? 「…いいなぁ、って。」 羨ましかったか? 「うん……。」 自分も行きたいと思わなかったか? 「……思った。」 行くためには、どうしなければならない? 「手術を…受ける。」 このままで、いいのか? 「…………嫌。」 じゃあな何をする? 「手術を…受ける。」 そうだな。 「でも、怖い。」 友達、作りたいよな? 「うん。」 望むだけでは駄目だ、その場から動き出す勇気……一歩が大切だ。 「………勇気。」 そうだ、人は何かをするのに勇気が必要だ。 少女は友達を作りたいよな? 「うん。」 じゃあ勇気を出して手術を受けてみろ、治れば友達がたくさんできるぞ? 「たくさん?」 そうだ。 「……たくさん。」 想像してみろ、友人と楽しく話をしている自分を。 「…………………。」 どうだった? 「幸せそうだった。」 そうなりたくないか? 「なりたい。」 そのためには、何をしなくちゃならない? 「手術。」 そうだな、今、想像したようになりたければ手術を受けるしかないな、そうなりたいよな? じゃあ頑張ってみろ。 「…………。」 今まで頑張ってきたんだ、後少しだけ頑張れ。 俺もいるから。 「クロネコ君も?」 そうだ。 「………ぅっ……ありがとう……クロネコ君……………元気付けてくれて………ありが…とう。」 少女は泣いた 今までの不安や寂しさをまぎらわせるように。 まだ少女は手術を怖がっているだろう だが、受けたいという思いもありそうだ。 焦る必要はないだろう。 少しづつ、だな。 俺は少女に近付き、そっと涙を舐めてやった。  
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