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そんな事をしたら優しい貴方を困らせてしまう。
俯いて表情を隠そうとしたら目に入ってきた貴方の腕時計。
あぁ…私が初めてプレゼントしたんだ…。
別れるというのに、まだ貴方の中に私が残っている気がして嬉しかった。
でもそれを見て、もとの友達同
士に戻るなんてムリだと思った。
そもそも友達に戻れるのか怪しいけどね…
ゆっくりと貴方の顔を見る。
もう、貴方が私を見る目は他人の目…
もう私の気持ちは届かないの?
「あのさ…」
「大丈夫だよ。…大丈夫。」
ムリに微笑んで声を発する。
貴方の声を聞かないように…。
今はなるだけ話していたくない。
まだ諦めきれていないから。
なのに、貴方は言葉を続ける。
「…俺はお前のことを嫌いになったわけじゃない…。」
「…ッ」
じゃあなんで…。
という言葉を必死に飲み込む。
何がいけなかったの?
と聞きたかった。
なんで、貴方は私を苦しめるような事を言うの?
分かっている。
それも貴方が言外に別れを告げているんだと…
少し期待していた。
すぐに「ウソだ」と言って優しく抱きしめてもらえるんじゃないかなって。
でも、私じゃない、違う誰かを愛しているんでしょう?
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