SCAR

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「好きですよ。俺は貴女の事が…」 もっとかっこいい言葉だってあるだろうに…。 思いつかなくてこんな言葉しかでてこない。 いつもの俺なら、もっと… でも貴女は、俺に合わせて微笑みながら言葉を返してくれた。 「私も好きだよ。」 そう言ってくれた。 俺を見ないままで…。 君は誰を見ているんだ? なんでそんなに肩を震わせているんだ? その肩を抱き締めたら君の心もちゃんと抱き締めれるか? たった一夜限りの夢のはずだった。 少し前から見かけていた。 その人がたまたま俺のもとに寄ってきただけ。そんなことは今までにも何回かあった。 だから今回もそうだろうと勝手に決め付けていた。 でも… 恋なんて甘い響きのする言葉は俺に似合わないから…。 俺に似合うのは一夜限りの関係だったはずなのに…。 俺の欲しい人だったはずなのに…。 手に入れてから君と過ごした甘い甘い夢のよう…。 ずっとこのままでいれたらよかったのに…。 君を抱きしめながら眠る夜。 このまま時が俺達を置いていってくれればいいのにと…。本気でそう願った。 前までの俺なら有り得ない。 抜け殻だった君が抜け殻じゃなくなっていなくなってしまった朝。 気付いたことがある。 その気持ちは俺の心を抉った。 俺は君を愛してた。 .
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