第六話:ー始まりの終結ー:

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第六話:ー始まりの終結ー:

エミーが…国王が自分の目の前で死んだ 『死ぬ』ということさえ、幼く理解出来なかったアリアは遺体を放置しその場から逃走し、母親の元へと戻った 「ただいま、ママ…」 驚きと恐怖心に母親に抱きつくアリア 「あらあら、どうしたの?アリア…」 母親の問いに素直に答えようとするが、エミーとの『内緒』という約束を思い出し、アリアは何も言えなかった 「ううん、なんでもないの」 アリアは精一杯の笑顔を母親に振りまいた その笑顔を見た母親は安心し、頭を撫でニコッと返事をする 「そう?ならよかったわ」 後にあの大事件の引き金となったのは…もしかするとこの時の些細な心の傷だったのかも知れない… ー翌日ー 城内は無数の警備兵の遺体とエミーに殺された黒槍のメンバーの遺体、そしてエミーが消息を絶ったことで大変な状態に陥っていた。 生き残りの警備兵への対応など全ての指揮を取るのはジールだった。 アルカディア王国 ー城内ー 「今、この城…いや、この国全体はもはや落ちたと言っていい程の状態に陥っている! とにかく、早い復興が必要だ! 皆の者!力を貸してくれ!」 『はっ!!』 警備兵達は、すぐさま与えられた仕事に取りかかった 一方のジールは、五人の警備兵を引き連れ極秘でエミーの捜索に当たった 「これよりエミー・キルラ国王の捜索に当たる! 各級二人ずつだ! 国を出た痕跡はないことからこのアルカディアのどこかに居ることは明確だ! どんな小さな倉庫なども見落とすな! 以上! 解散!!」 その言葉を合図に六人がそれぞれ別れた アルカディア王国 下級地区 ジールと警備兵のレビイは別れて下級地区を見回っていた 「何か発見はありましたか?ジール様」 「いや…何もない」 「そうですか…」 ジールとレビイはある程度の時間が経過すると集合し互いの情報を交換し、再び別れた かなりの時間が経ち、ジールは少々焦り始めた 「クソ…見つからない… いったい何処に行ってしまわれたのですか…!」 そして、民家の前を歩いた時…ジールの服を引っ張る者が居た それはアリアだった アリアは何も語らずジールの服を引っ張り、遺体が放置されている倉庫に入った 「…!!エミー様!」 直ちに生死の確認を取る 「ダメだ…死んでいる!!」 ジールは膝をつきエミーの遺体の前で泣きながらエミーに語りかけた 「エミー・キルラ国王…! あなた様のお命を…お守り出来ず申し訳ございません…でした…」
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