第九話:ー解放ー:

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ジールが諦めず必死に呼びかける 「アリアちゃん!アリアちゃん!!ダメだ!しっかりして!」 しかし、ジールの呼びかけも虚しく、とうとうアリアの目による犠牲が出てしまった 「な…何だ…その目は…」 見たのは海賊三人と警備兵一人だった 四人はそのまま死亡した… それを見ていた他の海賊達は恐れをなし、アルカディア王国から逃げ出そうとしたが、狂気に満ちたアリアがそれを追った 「コロス…キサマラ…ユルサヌ…」 ジールは途中で必死に後ろからアリアに抱きつき、必死に食い止めた 「止めろアリアちゃん…もうダメだ!人を殺したりしたらダメだ!!」 「ハナセ…ハナセ…」 アリアの様子は変わらなかった ジールは自分の無力さに涙を流し、アリアを抱きしめた 「もう止めてくれ…止めてくれよアリアちゃん…私は…俺は…女の子一人…救えないのか!!」 もはやジールになす術はなく、奇跡を信じて叫ぶしかなかった 「はぁ…はぁ…頼む、届いてくれよ… アリアーーーー!! 奇跡でも何でもいい!! 頼む!目を覚ましてくれーー!! 憎しみに…取りつかれちゃダメだぁぁぁぁ!!」 ジールの叫びが国全体に響き渡る 「はぁ…はぁ…はぁ…君…には…普通…の女の子に…なって…楽しく…生きて欲しいんだ…だから… アリアーーーー!! 目を…覚ませーーー!!!」 ジールはそう思い切り叫ぶと…倒れた しかし、ジールが倒れると 急激にアリアの様子が変わった 「…グゥア…」 アリアは何かを思い出すようにもがき苦しんでいる 「ガァァァ…」 ジールは倒れながらもアリアを掴んでいた 「……」 そして、アリアの中で全ての記憶が…繋がる エミーの死、エミーと、自分の目のこと、ジールと約束したこと 失われつつあった記憶が全て繋り…そして、憎しみが消え去り、アリアの目から赤い光が消えた… アリアは光が消えるとそのまま倒れた ジールはアリアの死を疑った 「アリアちゃん…!?」 ジールはすぐさまアリアの脈と呼吸を見るが、特に問題はなく気を失っているだけだった 「あぁ…よかった………」 ジールはとても安心してアリアを背負い生き残りの警備兵と共に城へ帰った… そして、これが最初の力の解放となった
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