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『隊長、みんなは』
「攘夷派のヤロー共が暴動起こしたってんで、その鎮圧に行きやした」
『隊長行かなきゃァァァア!!』
「こっちのが大事でさァ!!」
『そんな真顔で嘘言わないで下さいよ!』
怒りますよ!!
高血圧と診断された直後、私は無駄に怒鳴り散らす。
頭がぐわんぐわんしてきたけど知るもんか、隊長が、一番隊隊長がこんなときにここに居て良いわけがない。勿論、隊士の私も。
布団から飛び出し壁に掛けてある制服を掴む。部屋を出るべく振り返った刹那、がしりと両肩を掴まれて。
取り上げられたはずの氷のうをぺしゃりと顔面に押し付けられる。その冷たさに小さく悲鳴を上げると、パッと視界がひらけた。
ぐしゃり。
また、氷のうが床に落ちる。
そして凄く不機嫌そうな隊長が、じっと私を見ていた。
「お前を連れて行くわけにはいきやせん」
『でも!』
「‥仕方ねェからちょっくら行って来やす。だから、」
ぐい、と肩を引かれ隊長の頭が私の首元へとすっぽり埋まる。何をするかと思えば ちゅっ、とうなじに優しいキス。
耳元には優しく息を吹きかけられ、思わず身体がブルっと震える。突然の出来事に涙すら浮かべる私に、隊長はそっと頬に手を伸ばし優しく撫でて。
「大事なのは、嘘じゃないですぜ」
ニコリと微笑むと、隊長はゆっくりと部屋を出て行った。
その言葉の謎を、私に突きつけて。
(何‥?どういう、こと?)
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