09's Valentine

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:)雲雀恭弥 (偶然) いつもと違う、ひんやりとした空気を漂わせた通学路。マフラーに顔をうずめ、私は空をじっと見つめながら道を歩いてゆく。 隙間から溢れる白い吐息。 はー、っと長めに息を吐けば、それ相応の大きなもやが辺りに広がった。 (寒い時には‥‥甘いもの、か) 誰が言ったかは忘れたが、前にそんな事を聞いた気がする。 寒さで麻痺しているのか、はたまた別の理由なのか。思考回路がきちんと働かない。 今頭の中に思い描くのは、“甘いもの”。買い喰いなんて滅多にしないけれど(寧ろ見つかったらヤバいし)、今日だけは何かを口にして帰りたい気分だった。 ふと見つけた駄菓子屋に入り、飴やらチョコやらを買いポケットに入れる。 ひとつ、チョコの包みを開き、ぽいっと口に放り込んだ瞬間。 後頭部に、何か冷たい物があてがわれました。 ‥待て待て待て待て、 早過ぎないか? 『つけてました?』 雲雀さん。 振り返る事無く私は呟く。あぁ、当然口の中のチョコをもごもごと溶かしながら。 「偶然だよ」 頭に当てがわれた物に確信せずにはいられなかったけれど、聞こえた声にそれは確かになって。 偶然か。それが本当なら私はかなり不運な子だ。その偶然によって私はきっと伸されてしまうのだから。 そんな事を考えながら私は返答もせずにただ口を動かす。 その様子が気に入らなかったのかどうかはわからないが、後頭部に当てがわれたものに圧力が掛けられた。 『いだっ‥!痛い!痛いですっ!』 「うん、良い反応」 『怒りますよ!』 「君が?」 微かに漂い始めるピリピリとした殺気。 きっと心底鬱陶しく思われているんだろう。すみませんね慣れなれしくて!今日の私は怖い物知らずさ! とりあえず明日を平穏に過ごすには、なんとかしてこの状況から脱しなくてはならない。 イライラにはカルシウム、っとカバンの中に何か無かったかと考えるが、カルシウムが含まれた何かは無い気がする。 入れた記憶が無い。 「いつまで黙ってるの?」 『今食べ終わりました』 「ワォ‥良い度胸してるね」 .
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