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『…ん、‥?』
「まだ、寝てなよ」
微かに身体が動いたのに反応して、手を引っ込める。
『つめたくてきもちい‥』
「はいはい」
うっすらと目を覚ました彼女を軽くあしらえばちぇっと小さく舌打ちをする。
生意気だと頬をつねれば顔をしかめてこちらを睨んだ。
つねっていた手を開き頬をそっと撫でる。
虚ろになってきた瞳を閉じるように促せば、彼女は素直に瞼を落とした。
一言、
『やっぱ‥恭弥兄は、優しいね?』
と、微笑みを残して。
「優しい、か‥」
自分の靴は投げ出し、学ランも玄関に放ったままだ。
この程度のことでこんなに僕の気を乱すことが出来るのは‥わかってる、だろ?
(愛しい)
(幼い頃から君の笑顔が宝物だったから)
(守るのが、僕の役目だよ。)
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