103人が本棚に入れています
本棚に追加
後ろの襟をずり下ろし、微かに露わになった背中に唇を寄せる。白い肌に現れてゆく、赤い花弁。
はぁっ、と彼女が熱い息を吐く。だんだんと熱を持ち始める彼女の身体。腰に回した僕の腕をぎゅっと掴み、息を止め声を抑える姿が愛おしくて堪らない。
『む、くろっ‥』
「‥おや、欲情してしまいましたか?」
『……さむい、』
「え?」
彼女の言葉に、ピタリと動きを止める。自分も寒いと言う環境にいながら、よくよく見れば彼女はもう上半身の服がほとんど剥がされた状態。
白い肌には鳥肌が立ち、微かだが震えている。
その背中を暖めるように、自分の胸板を押し付ける。腰から離れ、彼女の首辺りに回した腕。
動きが無くなったのを不思議に思ったのか、彼女が小さく僕の名前を呼ぶ。その、可愛らしい声で。
「なんです?」
わざと耳元にすぐ聞こえるように、言葉をかける。
クフ、これが苦手だって知ってますよ。流石に貴女相手だと僕もSになってしまうようです。
『‥本当に今日、冷えるね』
でも、あったかい。
首に回した手の甲に感じる柔らかな感触。ああ、キスをされた?キョトンとして後ろから彼女の様子を伺う。先ほどまでの暴れ馬っぷりはどこへいったのやら。
でもこれは良いムードではないですか!?よし、この勢いで‥‥っと、意気込んでいたら。
腕の中に感じる、ずしりとした重量感。
ガクンとうなだれた首を持ち上げ、こちらに顔を向けてみれば。
スヤスヤと眠る、僕のお姫様がおりました。
(クフフ‥‥冬眠‥、ですか?)
(ていうより‥)
(この体勢、この格好で我慢大会ですか、貴女もなかなかのSですね!!)
.
最初のコメントを投稿しよう!