第一章 やんちゃくれ

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刑事の立花や警察官達が引き上げた。 榊 誠次の一言で全て済んだ。 『この人、一体なんなんや?』 正直、俺だけではなくその場に居合わせた人間はそう思ったに違いない。     純、タケシ! 一体何の騒ぎや? 俺も訳わからんと橋本から連絡入ったから飛んできたけど。 揉め事があるときは前もって言うとかんかい。     誠次さん、すいません。 ガチャとは前から何かと揉めてるんですわ。 今日は全く予想できんかったんですわ。 突然殴り込みかけてきよりましてん。 3人フクロ(袋叩き)におうとるんですわ。     まぁええ。 浪速署行かなあかんから、そやのぉ、夜の8時にうち(秋山)の事務所に顔出してくれや。 すぐ解散や! これで飯でも食えや。     そう言って誠次は太った財布を取り出して1万円札を抜きとった。 その当時の俺たちには1万は大金だった。 ガチャの残党は影も形もなかった。     誠次は片手を軽くあげタクシーに乗り込んだ。 当時の俺達には誠次のそんな姿はやけに大人に感じた。     誠次を見送りはいつもの溜まり場に集合することになった。 最終的にミナミのやんちゃくれ達は16人になっていた。     タケちゃん、どうする? 橋本と真司だけでええなぁ?      純ちゃん、それでええやん。 あんまり、仰山おったら暑苦しいわ。     そやなぁ、ほなそうするわ。 橋本!真司。 二人だけでええわ。 いつものとこに集合や。 あとは解散してええぞ。     俺はいつもタケシに最終的な決断を仰いだ。 責任転嫁をするつもりはなかった。 ただ、その場その場の判断を的確に冷静に見る能力は遥かにタケシが長けていたからだ。     真司、俺のチャリ乗っていってくれ!     俺はタケシは二人並んで戎橋筋を戻った。     タケちゃん、橋本の人間集める力は凄いなぁ。 今日でもあっと言う間にあんだけの人間集めよったもんなぁ。     そやなぁ。     タケシからの返事はいつも簡単なものだった。 それでも、俺には全てが理解できた。
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