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俺達の溜まり場は宗右衛門町の小さな飲食店が雑居するビルの屋上にあった。
ビルオーナーが物置に使っていたプレハブ小屋が事務所兼悪ガキどもの溜まり場になっていた。
戎橋(引っ掛け橋)には平日でも餌を求め色んな人間が蠢いていた。
それをわかっていて近付く人間も数多くいたのも事実だった。
若い女を求めて男達が群がり、その男達を狙って欲望を逆手にとる人間達が集まった。
乞食までが場所取りをした。
おっちゃん、今日は儲かってるか?
タケシは戎橋の南端を根城にする乞食に声をかけた。
あっ、タケちゃん。
今日は全然あかんねん。
なんぼか恵んでぇな。
アホ言うな。
おっちゃん、いっつもええもん食うとるがな。
金入れてくれた人間が見たら怒るぞ!
まぁしっかり役者しぃや。
大きい声で言いなや。
儲からんがな。
タケシは見下したような目を投げ掛けその場を離れた。
俺はポケットの中から10円玉を1枚、粉ミルクの缶に放り込んだ。
おっちゃん、どんどん缶大きなっとるがな。
ほんでな、乞食が座布団引いたらあかんがな!
そう言ってウインクした。
おっちゃん、気張りや!
純ちゃん、ありがとう。
いつものように舌をペロッと出しやがった。
宗右衛門町に入った。
そこは夕方になると戦闘体勢を整える人間達が走り回った。
オシボリ屋、酒屋、花屋、米屋、肉屋、果物屋。
大きな荷台の付いた自転車が物凄い勢いで行き過ぎる。
俺はそんな喧騒がこの上なく気にいっていた。
タケちゃん、ええ街やなぁ。
タケシは返事をしなかった。
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