第一章 やんちゃくれ

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俺は心斎橋商店街に飛び込んだ。 人が多くて思うように進めない。     どけ!どけ! どかんかい!!   通行人達は傍若無人な俺のチャリンコに最初はきつい視線を投げ掛けた。 しかし俺の風体と形相に気が付くと我関せずと道を開けた。     難波の高島屋まできた。 大阪球場は高島屋の裏にあった。 道具屋筋側に回り込んで自転車を必死でこいだ。 ここまでくると人混みはなくなり、その日は野球の開催日ではなかったので人影もまばらになってきた。 大阪球場が見えた。 球場を背景に二つの人の塊が対峙していた。     まだ、乱闘にはなっていなかった。     待て待て、待てや!     俺は自転車に乗ったまま二つの塊の中に割って入った。     純ちゃん!   タケシとミナミの仲間達が声を上げた。     おう、高城やんけ。 これでガキンチョらも揃うたのぉ。   ガチャの連中も俺の登場にざわついた。     ガチャの頭の小山が俺の方に近付き肩を入れてゴロをまいた。     ガキンチョ?     俺は自転車を放り投げて小山の前に立った。   おい!小山。 お前、金山さんおったらえらい強いやないかぃ。 いつもは、泣いて帰るのにのぉ。 あっはっはっ!   タケシが俺の横に出てきて大笑いした。     おいおい、ミナミのガキンチョどもは行儀も知らんのか? 知らんかったら教えたるわ。 ちゃんと金山さんに挨拶せんかい! 東條組の幹部やぞ。     小山は勝ち誇ったように俺達の前にでてきた。     俺は喧嘩には自信はあったが口では勝ち目はなかった。 タケシがいつも交渉事を役割していた。     金山さん、ご無沙汰してます。えらい、しょうもない話に出張ってきはるんですねぇ。 この話は、僕らとガチャの人間との話ですやん。 ヤクザ事とはちゃいますやん。     タケシはいつものように流暢に口上を述べだした。
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