始まりの序曲

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 格子で仕切られた檻の中、 周りには私より年上の遊女達が自分を着飾っている。 檻の外には男の人が数人いて、遊女達を厭らしい目で見回し品定めをしている。 ここは遊郭の一角にある遊女屋。 私は叔父に売られたのだ。 両親を交通事故で無くし、叔父に引き取られ、酷い仕打ちをされた挙げ句の果てに私はここに売られた。 18歳になるまでは、裏方の仕事をしていた。 だが、18歳の誕生日から私はこの檻に入れられた。 檻の隅、いつも私は身を縮めて座っていた。 そんな私を誰一人買おうとはしない。 その方が私にとっては好都合だった。 見知らぬ男の相手なんて私にはできない。 周りの姉さん(遊女)達のように、なれない。 私はただ1日が早く終わるよう願うだけ。  
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