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私の足取りはどんどん遅くなる。
まるで鉛を引き摺りながら歩いているようだ。
「おい」
男が前を見たまま口を開いた。
「なんですか……」
「お前の部屋はどこだ?」
「そこを曲がって手前の部屋です」
また沈黙になる。
男は足早に私の部屋へ向かい、角を曲がると、男は手前の部屋のドアを開け中に入る。
私も入ろうとしたが、足が前に進まない。
男はドアの前で固まっている私に気付き近づいてくる。
相変わらずの無表情で。
「す、すみませんっ……」
恐怖心を私が襲う。
体が震えているのがわかる。
男はそんな私の手を引き、中に入れドアを閉める。
男は部屋のドアを閉め、部屋を見渡すと、上着を脱ぎベッドに寝転び言った。
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