†第十章:束の間の休息†

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あの夢を見てから一週間が過ぎた。 あの夢をみた日から少しずつ、確実に力は強くなってきた。その代償は………私の寿命。今彩乃達は遠出をして海に来ていた。白虎、太陰の風で運んでもらいみんな海に夢中だった。 『………桜は見えないかな。』 ひっそりと呟かれた言の葉は誰も拾えなかった。彩乃の寿命は確実に奪われていき、そしてその代わりに彩乃の力は強くなっていた。 「彩乃様、あっちで昌浩と一緒に遊びましょう?」 彰子の申し出に彩乃は首を横に振った。その様子に残念そうにしながら彰子は"来たくなったら来てくださいね"と残してみんなの元に戻った。 『………彩輝………………さよなら』 小さく呟いた言の葉をまたもや拾える者はいなかった。
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