†第十章:束の間の休息†

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(誰?私を呼んだのは?) そう思いながら青い顔をして後ろを振り向く。そこには彩乃が愛して、焦がれて、片時も忘れたことのなかった神将。六合がいた。 六合は彩乃を霊布で包み込み前方の禍々しい怨みの念を発する怨霊を見据えた。 「彩乃、大丈夫か?」 心配そうに彩乃を見ている六合。彩乃は小さく頷いて怨霊を見据え小さく神言を呟きだした。 『………この声は神の御言………この息は我が息にあらずこの息は神の御息、禍物を浄化したまえ!!』 彩乃が神言を言い終えると禍々しい怨みの念が消え、怨霊も成仏した。 ♪暫くした後♪ 洞窟の外に出た六合と彩乃は洞窟の前から動かなかった。いや、正確には動けなかった。 彩乃の体調が戻らず動くに動けなかった。そんな彩乃を六合は険しい表情で見据えていた。どうして自分は彩乃の側にいなかったのか。どうして自分はまた大切な主より大事と思えるこの少女から離れていたのだろうかと六合は自分を責め立てた。                                                                                                                                                             
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