遠山くんと魔女

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「……え? 今の何?」 少女はさっきの出来事を理解できず、呆然としている。 俺は理解できなくて困っている少女に仕方なく説明してやる。 「いや、お前がうるさく言ってたのは要するに細かい事を言ってたからだと思ってな。だから、男らしく、スケールのデカい投げヤリをしたんだが」 「いや、男らしくないから!! 何その無駄なスケールの大きさ!? というか投げヤリにならないでよ!!」 と、そこまで言って少女は深く溜め息をつく。 「……そうよね。私が悪いのよね。あんたみたいに頭がおかしい人間にどうこう言っても無駄って事を理解してない。私が悪いのよね」 そこまで言って少女はまた溜め息をつく。 ……聞き捨てならないな。 いくら温厚で温情な俺でも(※田中に金貸せと言われたら無表情で顔面にひじを入れるくらい)今の事にはカチンときた。 普段は優しく平和主義な俺でも(※特に理由もなく田中の腹に膝蹴りを入れるくらい)ここはちゃんと言っておかないといけないだろう。 「……おい」 俺は少女を睨む。 「何? あんたまさか怒ってるの? だとしたら、自分の行動を考え直したら?」 少女は睨み返す。 「……お前」 今度は少し低めの声で言う。 「……だ、だから何よ」 さすがに少女は少し怯む。 なので俺はここで今までためていた言葉を一気に吐き出す。 「俺くらいで、変人扱いしてるようじゃ、この街で生きていけねえんだよ!!」 「さんざん引っ張ってそんな事!?」 なんか、予定と違う反応が返ってきた。
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