遠山くんと狼男

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月の照りつける夜。 空にある満月はとても美しい。 しかし、これから俺に会った人間はこの満月に看取られ死んで行くのだろう。 ……そう、俺は《狼男》。 これからこの街は俺の手によって恐怖の闇に包み込まれるだろう。 おや? どうやら最初の犠牲者が来たようだ。 その犠牲者こちらにも、その後の自分の運命にも気づかない哀れな少年。 しかし最初の犠牲者が男とは…… だが、俺はどこかの《吸血鬼》どもと違って食わず嫌いじゃないんでね。 男女問わず平等に食い殺してやるのさ。 少年は愚かにも俺に背を向けて歩いている。 そうだ。 何も知らぬ、何にも気づかぬうちにお前はこの世界から消えて行くのだ。 背後から一瞬、それで終わる。 満月の夜だからこそ、それができる。 お前は運がいい、いや俺に選ばれしまった時点で最悪だったな。 せいぜいあの世でその運命に後悔しな!! 俺は一瞬で少年の背後まで近づく。 そして、何も気づいていない少年を背中から切り裂―― 「ぐばぁっ!?」 ……少年の回し蹴りが俺の左頬にヒット。 ……俺は倒れた。
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