遠山くんと狼男

3/6
前へ
/55ページ
次へ
「すまん、つい反射的に蹴りを入れてしまった」 「反射的に人の顔を蹴ったのか!?」 俺は頬を押さえながら言う。 ……おかしい。 予定では、このメガネ小僧が最初の被害者になるはずだったのに…… どっちかと言えば、俺が被害者になってるし…… くそ、こんなダサい状態からまた襲うのも気が引けるが、姿を見られたいじょう引き下がる訳にはいかない。 俺はもう一度ど少年に飛びかかっ―― 「ぐぼっ、ぐばぁ!?」 「す、すまん。つい癖で」 ……何の癖だよ。 癖でみぞおちに膝入れるかよ…… 癖でそのままさっき喰らわせた頬にピンポイントで拳入れるかよ…… 「悪気はないんだ。ただ不用意に飛びかかるあんたが悪いだけで……」 その説明に悪気があるよ。 「むしろあんたが大人しく謝ってくれればいい話で」 ……お前は悪気はなくとも悪意があるよ。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2999人が本棚に入れています
本棚に追加