遠山くんと狼男

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「というかさ、あんたその格好……」 は!! そうだ、そうだった。 俺は今、狼男。 つまり姿形は狼そのもののはず。 そうなるとこの小僧はいったいなぜ驚かない!? 「着ぐるみで街を歩くのは止めた方がいいですよ」 着ぐるみと思ってたの!? え? なにこの人? 最初から偽物って思ってたの? 本物とか、取りあえず驚いたりするとかないの? 「まぁ、この街ならセーフですが」 セーフなんだ!! 着ぐるみで夜道歩いてセーフなんだ!! いや、他の街でアウトかどうか分からないけど……ってこれ着ぐるみじゃないから!! 「ギリギリ保健所ですむぐらいなので今のうちに着ぐるみ脱ぐか、この街から出るかした方がいいですよ」 「それセーフに入るの!? というか着ぐるみ前提なのに保健所来るの!?」 な、なんなんだこの人。 いや、なんなんだこの街。 おかしい。 俺の想像と違う事しか起こらない。 「ま、俺は悪気もないし、謝る気もないからせめてあんたの人生に役立つ助言はするさ」 「あ、ありがとうございます。というか、俺が言うのもどうかと思うが他人蹴っ飛ばして謝る気がないって人としでどうなんだよ」 「まぁ、頑張れ。じゃあ、俺はもうあんたと話すの面倒くさくなったから帰るな」 「いや、本音でもそれは言っちゃダメなんじゃ……」 少年はそのまま帰っていった。
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