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「怒っては、いねぇけど・・・」
俯きがちになる彼の頬は紅潮していて、
こうやって馬鹿やってる時が、幸せだよって、
―――伝えたくなる。
「ふふっ、ありがとっ」
ふわり、とあたしの何にも染まってない黒髪が、肩の近くで跳ねた。
繋がれた、手が、温もりが、
―――貴方との、距離。
あたたかい、そんな彼が大好き。
口下手だけど、あたたかい愛を手渡してくれる、彼が。
「・・行くぞっ」
―――だって、
「亮ちゃん顔真っ赤ぁ~」
―――愛を感じない言葉と、
「うるせっ!」
―――温もりを持たない笑顔、
「へへーっ、」
―――誰に向かっているのか
わからない、
――――視線。
――そんなあの人より、ずっと。
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