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「この家ともお別れか」
「うん」
引っ越し当日、父は車の中から家を見てそう言った
「名残惜しいけど、まあしょうがないよな」
「うん」
「…じゃあ、行くか」
「…うん」
父は車のエンジンをかけた
窓から見えるいつもと変わらぬ彼女の姿
あれから彼女に僕は話しかけなくなった
別れが寂しくて
あの孤独感が怖くて
話しかけることが出来なくなった
窓から見える彼女はいつもと変わらないようだったけど、心なしか…
「ちょっと待ってお父さん」
「なんだ?」
僕を見送っているようにも見えた
僕は車から飛び出して彼女の元へ向かった
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