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「めずらしいのね」
「何が」
「ここへ来るのが」
返事はない。
わたしはまた、目を瞑る。
赤い夕暮れ、遠い喧騒。
目蓋越しの、夕暮れ。
赤い闇はじわりじわりと押し寄せて、わたしを飲み込んでいく。
それは嬉しく、それは悲しく、わたしの感情すらも凌駕して。
いつからだか、そんな妄想の中で不思議なモノを見つけた。
それは日がたつにつれ、少しづつ、少しづつ大きくなって、わたしの肉体も精神も全て充たしていってしまう。
ただ、それだけ。
それだけで終わる妄想。
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