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「あー、クソッ…辰真が女だったら良かったのによ…」
「…は?」
モヤモヤと黒い感情が沸く中、苛立ったように呟いた和人の言葉に思わず間抜けな声が出た。
「そしたら毎回生でヤって、ぜってーハラマして俺のガキ生ませて、縛り付けんのに…」
「おいおい…頭か何か、ぶつけたか?和人」
「…冗談だよ」
女誑しで、女好きの和人がそんな事言うなんて驚いた。
別に嬉しくなかった訳じゃない。
和人が女の元へ行く度に俺は苛立っていたのは本当の事だし、何度和人に抱かれる女たちが羨ましいと思ったかは今や分からない。
それでも、和人は女たちを捨てて俺の…いや、誰のモノにはならなかったから安心していたのも本当の事だ。
…あぁ、でも、和人が抱きたいのは柔らかい身体をした女で、俺が女『だったら』だもんな。
今の、俺じゃ無理って事だよな。
そうして冗談だよ、と言った和人の苦笑いに俺も苦笑いを返した。
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