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『よう、今高沢の奴いねぇだろ?』
「あ?何で…」
電話に出れば単刀直入に言われた事に驚く。
何で知ってんだよ。
『学校から出てくの見たからな。
…今から言う場所に来いよ。
どうせ帰るとこだったんだろ?』
…何でもお見通し、ってか?
きっと電話の向こうでは嫌みったらしい笑みを浮かべてるであろう伊勢が簡単に想像出来た。
「行かねえ、って言ったら?」
『そん時はどうなるか…お前も分かってんだろ?』
分かってるさ、分かっているが素直に出向くなんて出来やしない。
『…お前は、俺に脅されて仕方なく俺の所に来るんだよ。
これは裏切りじゃない。
…守るため、だろ?』
ああ、この男は悪魔だ。
俺がその言葉一つで動くと知っていて言っている、確信犯で質が悪い。
…その、質の悪い男に知られてはイケない秘密を知られてしまった俺。
俺はこの男に従うほか、ないのだ。
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