プロローグ

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プロローグ

今年は近年稀に見る猛暑らしい。家の外の工事現場では、作業員が横になって休憩している。 セミの鳴き声も今日は一段と大きな気がする。割とガタイの良い少年が、クーラーとテレビの電源を入れ、呟いた。 ( ^ω^)「そろそろ試合だお…」 チャンネルを替えると、野球場が映されている映像が現れた。 アナウンサーがグランドコンディションの説明や、今日の対戦校の紹介をしていた。第一試合はVIP高校対ラウンジ高校だと告げられた。 この少年――内藤はVIP高校の三年生である。そして、ほんの二ヶ月前までは野球部だったのである。 今日の県予選大会でも、テレビで見られる側だったのかもしれなかった。 ( ^ω^)「…どうせ続けててもベンチにすら入っていないお」 自嘲気味に内藤はこう吐き捨て、録画ボタンを押した。テレビでは昔の仲間たちが整列していた。 内藤は少しだけ羨ましくなった。そして、昔のことを思い出していた――   ( ^ω^)が退部するようです
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