プロローグ

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「罪人…高倉新之助役人他多数を斬りつけその他事件に関わる者としてよって…ー死罪を申しつける」 「俺は…何もしていない…まだ生きなきゃならないんだ…」俯き呟く一人の男 ボロボロの着物から拷問で受けた火傷の跡が痛々しく見える その様を見ると奉行がゆっくりと口を開き男に尋ねた 「何か言い残した事、やり残した事はあるか?」 普通死罪と告げられれば目は虚ろになるものだがその男はこう告げた「…桜が見たい…死罪になるなら…目に焼き付けたい…」その瞬間新之助の髪を風がなびかせ凛とした表情を見せた それに気づき目を細め奉行がふと呟いた 「…死罪にするにはおしい目をしているな…良かろう、最後の望みしかと聞き届けた…これにて閉廷!」扇子をパンッと折り畳み閉廷を告げた
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