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目の前で舞う血は酷く人じみた臭いがした。
逃げようなどという恐怖も、くだらない正義感も亜紀は持ちあせていなかった。
ただ、めんどうだと思うほかない。
今更見付かっていないとかいるとかそういうのはどうでもいいことだった。
『亜紀を探せ』
その言葉が、探すだけのものでもないことぐらい亜紀にもわかった。
どうせ止められない凶行なら、いっそのこと壊れてしまおう。
だから逃げず隠れず、亜紀はそこに留まった。
見つけたときの奴のにやり顔が未だに頭から離れない。
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